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魔女……
本当に存在するんだ。
現代のアメリカで総務をやってるんだから
童話に出てくる様な姿じゃない…よね。
意外だと言わんばかりに
じっと私の顔を覗き込んだチェイス。
「いつもみたいに『えっ…?』って何度も
聞き返して来ないな。
すんなり受け入れたのか、驚き過ぎて頭のFUSEがブッとんだのか
どっちだ?」
「アンジーや不気味なアメリカンビューティを見てるもの。
人ならざる者の存在は否定しようがないもん。
アメリカで総務をやってる魔女って
どんな姿だろうって考えた」
チェイスは右手でスマホを操作しながら
「グレースを見せてやるよ。
え~と、確かアメリカが建国246年だかそんなもんだろ。
グレースの方が先輩だ。
御年300歳以上…とは聞いたが。
もしかしたら500年以上生きててサバ読んでるかもな」
「モリオンの扱いと今の発言…グレースが知ったら
お前…どうなるんだろうな」
「リアム、絶対彼女に言うなよ!
あった、300年以上余裕で生きてるご長寿のグレース」
チェイスがスマホの画像を見せてくれた。
う…うそっ?!
この人が300年以上生きてる魔女?
豪快に笑う彼女の周りもキラキラしてそうだ。
纏うオーラがスパークして輝いてる感じ。
私はオーラは見えないけど。
「どう見ても20代から30代前半…
それに綺麗でものすごくチャーミングな女性」
「客先のパーティに招待されて
一緒に行った時の彼女だ。
グレースは自身が望んで普通のアメリカ人女性として生活してる。
仕事も魔法はなし。
緊急事態だと彼女が判断した時に限り
力を使う事があるらしい」
「2週間ほど前。
俺とチェイスが仕事を終えて帰宅しようとした時
グレースに呼び止められた。
『経営者の2人に何かあったら私たちが路頭に迷う。
嫌な予感がするの。
強力なお守りになるから持ってなさい』って手渡されたのが
ビロードに包まれたモリオンだった」
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