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「あーっ、いいなぁ!
私もギュッで強く抱・い・て♪レイチェル」
突然、レイチェルの背後から
男声とも女声とも区別がつかない
ジェンダレスな声がした。
驚いた私はパッとレイチェルから
身体を離し、首を伸ばして
レイチェルの後ろを覗いた。
ピトッとレイチェルの背中に密着して
腰に両手を回し
頬をすり寄せたその声の主は
私と身長が変わらない。
少しだけ高い…かな。
レイチェルは腰に回された手をほどいて
クルリとジェンダレスな声の主に
向き直ると
「ホリーは私にとって大切な愛しい娘。
昨夜出会ったばかりのあんたが
そんなポジションにつけるわけないでしょアレックス」
ア…アレックス?!
男女どちらにもつけるジェンダレスなファーストネーム。
じーっと私を見るアレックスって人は
声や名前だけじゃなく、お顔も性別不詳。
中性的な美形でカッコいいのはレイチェルと共通してる。
しばらく私を見つめていたアレックスが
「泣いた後の女って大抵ブチャイクに
成り下がるもんだけど。
お人形さんみたいに可愛い子ね、緑の瞳が印象的。
守ってもらう、か弱いプリンセスって感じ」
嫌味を言われているんだろうか…
キョトンとしてしまった私に
「ああ、この子ちょっと鈍い系でぽや~んとしてるのね
ね、学校でQueenBeeたちにいじめられたりしてない?」
レイチェルが割って入ってくれた。
「アレックス、色眼鏡で人を見るな
いい加減にしろ」
「Wow!ムカつくと男が前面に出るんだレイチェル。
カッコいい」
「失礼な事言ってごめんなさいって
ホリーに謝れ」
「失礼な事言ってごめんなさい。
アレックスよ、よろしくホリー。
昨夜レイチェルに拾われて一晩共にしたの」
手を差し伸べられて握手したけど
レイチェルと一晩共にした…その言葉を
すぐに飲み込めず、何度か頭の中でリピートした後
固まってしまった。
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