High Way To Hell

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 レイチェルが私に何か言おうとしたその時  「おい、アレックス!」 2Fから白衣に袖を通しながら下りて来た Dr.コナーの声が響いた。 手に持っていたもう一着の白衣を アレックスにバサッと投げたDr.コナーは 顎でキッチンの扉を指して  「処置室に来い。 戦力になるなら置いてやる。 俺が使い物にならんと判断したら 追い出すぞ」 自信たっぷりの笑みを浮かべながら嬉々として Dr.コナーの後ろについて行くアレックス。 レイチェルが私の顔を覗き込んで  「ここで待つ? それともチェイスとリアムに付いていたい?」  「傍にいたい」  「わかった。 Dr.コナー!私たちも処置室に入っていいですか?」 診療所へ続く扉を開けながらチラッとこっちを見た Dr.コナー。  「邪魔にならんところでおとなしくしてろよ。 処置室は狭いんだ」 処置室に足を踏み入れると Dr.とアレックスが消毒を終え 医療用の手袋を装着していた。 アレックスって医療行為が出来るんだ?!  「アレックスお前はロン毛の傷を診てやれ 処置はお前の判断で好きにしろ」 アレックスはリアムの傷口がよく見えるよう ズボンにハサミを入れながら  「HARD ROCK系でどう見ても インテリそうなこんなイケメンさんを 好きにしろって言われたら ベッドに縛り付けてイケナイ事したくなっちゃう」 リアムはひきつった笑みを浮かべて困惑している…。 チェイスはそんなリアムを見てニヤニヤ。 あんな過激な事、堂々と口に出来るアレックスが レイチェルと一夜を共にしたん…だよ…ね。 アレックスは男性?女性?どっち? あ、 チェイスとリアムが傷口の処置を受けるのに こんな事考えてしまうなんて。 なんて薄情な娘なんだろう私。 レイチェルの私生活に余計な気をまわすのはよそう。 考えちゃダメ! 生理食塩水でリアムの傷を洗浄したアレックスは 無駄のない見惚れてしまう様な動きで 縫合の準備を終えると、リアムに局所麻酔を打った。 笑みが消え、顔つきと雰囲気が一変したアレックスは さっきとは別人の様だ。 女医さんにも見える。  「スパッと傷口がキレイに裂けてる。 傷跡がわからない様、治せるわ。 任せて」 手品を見てる様な鮮やかさで、あっと言間に彼女は縫合を済ませた。 チェイスの方を見ると 腕を診ていたDr.コナーがボソッと  「サバイバルナイフの刃だな… 自傷行為か?」  「俺は病んでねぇっ! 仕事も私生活も順調だ!」  「縫ってはやるが、麻酔なしでいいよな」 貴重な麻酔をお前に使うなんてもったいない。」  「なんの我慢大会だよっ?! ……マジでストックが少ないなら… わかった、なしで構わない。 麻酔が必要なアンタの患者に使うべきだ。 手際よくサクッとやってくれ」 ニヤッとしながら Dr.コナーは人差し指でチェイスのおでこを軽く突いた。  「冗談だよ。 局所麻酔してやる。 傷口にダイレクトにブスッとな。 そん時は痛いが仕方あるまい。 いい歳して泣くなよ」  「泣くかっ!」 局所麻酔の針がチェイスの腕に刺された瞬間 チェイスの顔が苦痛に歪んだ…。 み…見てしまった… パックリ裂けた傷口に麻酔の針が刺さるところを…… ヨロけてしまったその瞬間 さっとレイチェルが抱きとめて支えてくれた。  「ここを出てリビングのソファで待とうか。 すぐ終わる、心配ないから。 死ぬような傷じゃないから大丈夫! さ、処置室を出よう。 ホットミルクを入れてあげるわ、飲んで落ち着きなさい」 ソファで待っていたら レイチェルがホットミルクを持って来てくれて 口を付けると落ち着いた。  今はリビングにレイチェルと2人。 勇気を出してアレックスとの事 聞いてみようか…どうしよう。 大きなお世話とか関係ないって言われちゃうかも。
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