High Way To Hell

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 チェイスとリアムが女性に迫られているところを目の当たりにしたのは 衝撃だった。  私にとって2人はお父さん、兄、そんな存在だけど 他の女性にとっては魅力的な異性なんだ…… 「遊びでいいから抱いて」のフレーズが 頭の中でエコー付きで何度もリピートされて かなり狼狽えてしまった。 キッチンへ行って戻って来たレイチェルから ペーパータオルを受け取った2人は センターテーブルとソファに飛び散ったアイスティを拭いた。 アイスティーをブッと噴いて飛び散ったなんて Dr.コナーにバレる前に証拠隠滅しておかないと。 それはわかる。 大きく溜息をついたチェイスが  「アレックス、座れ」 そう言われた彼女はつかつかとチェイスの前に。 唖然とするチェイスの膝の上にチョコンと座って 首に手を回そうとした。 その瞬間、チェイスがアレックスの両手首を掴んで  「こらこら…ここじゃない。 ホリーの隣に行け」 彼女は口をとがらせながら 私の隣にドカッと腰を下ろした。  「リアムの方に行かなかったのは 足の傷を気遣ったんだろ? 考えなしに動くアホじゃないよな。 なんで自分を安売りする?」 チェイスから目を逸らしたアレックスはボソッと  「まともな人間関係築けない欠陥人間だから。 あたしアスペルガーだし、まともな扱いされないよ。 ベッドインしてる時だけは自分を見てもらえて 温もりを実感できるじゃん」  「悪女ぶって誘いをかけたら飛びついて来るような奴は お前をメスとしか見てない。 下衆な男が寄ってくるんじゃなく お前がそういうのを呼び寄せてる事に気付け。 掃き溜めの様な世界がお前の居場所じゃないよな?!」 リアムが静かに口を開いた。  「俺は医学に関しちゃ素人だが… アレックス、君の縫合技術のレベルはすごい。 それはわかった。 レイチェルがここに連れて来たってことは… 医療従事者じゃないのか?」  「さすがね、リアム。 そう、この子NPNurse practitioner(ナースプラクティショナー))よ」 確か…NPって… 診療、治療が許されている看護師だったかな。 合ってるかどうかは自信ない。 それが伝わったみたいで レイチェルと目が合うとフッと目を細めて  「NPは医師と看護師の間、そんなポジションよ。 今朝、アレックスから話を聞いて Dr.コナーの右腕にどうかと思いついて連れて来たの。 あ!あんたたちみたいに突然押しかけたりしてないわよ。 ちゃんと事前に電話を入れて相談したわ」    
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