High Way To Hell

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 「NPが何で夜中にほっつき歩いてた?」  「……仕事を失ってお金が底をついて アパートも追い出されてさ。 BARで泊めてくれる相手を見つけるつもりでいた。 道ですれ違った全身タトゥーの酔っ払いに 肩がぶつかって絡まれて路地に引きずり込まれたところを レイチェルに助けてもらった。 それが、さ! すごかったよ、アクション映画みたいだった。 いや… 映画と違って瞬殺だった。 銃を向けられた瞬間、手品みたいに相手の銃が レイチェルの手に移動しててさ! どうやったんだか見えなかったし。 アサシンクリードみたいな動きのレイチェルに あいつら動かない人形の様でさ。 あっと言う間にねじ伏せられたんだってば。 どう見てもレイチェルの方が小柄で弱っちぃのに。 ゴキッて音がしたからレイチェル…… 骨を折ったんじゃないのかな。 鳥肌が立ったよ」 興奮気味に話すアレックスにレイチェルが呆れた顔で  「色んなアングルから撮影して カッコいい見せ場を編集する映画じゃないんだから あっけないわよ。 それにスクリーンの見世物シーンじゃなく 生死がかかったホンモノの格闘を見たから 恐怖で鳥肌が立ったんでしょうよ。アンタ腰が抜けて 自力で立てなかったじゃない」  「そっ、そこは…… 黙っていて欲しかったな」 バツが悪そうなアレックスを見て チェイスがプッと笑いながら  「マジモードにスイッチが入った こいつ(レイチェル)の格闘を見たら ホリーだってビビって立てなくなるさ。 それより、なんで仕事を失ったんだ? NPならそこそこの年収もある職業だろ?」  「上位25%のNPなら12万$(約1200万)くらいもらえるけど 下位25%だと8万$(800万)くらいかな。 私はそんなにもらえなかった… 職場でもハブられてたしね。 アスペルガーでKYだし、それに…… 変なもんが見えるんだ私。 患者にも職場にも悪影響だからって辞めさせられた」  「大丈夫よ、その変なもんについて話しても この人たちはすんなり受け入れてくれるし 信じてくれるから」 レイチェルの言葉にアレックスの顔がパッと 明るくなった。  「ホント?」
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