High Way To Hell

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 「待ってーっ、ちょっと待ってよ!!」 アレックスが家から飛び出して 車に向かう私たちを追いかけて来た。  「HUGさせて!」 言い終わらないうちに彼女が私を抱きしめた。 彼女の屈託のないストレートな素直さが 初対面の人が苦手な私の壁を ものともせず入って来る。 でも不思議な事に彼女に対しては不快感はなかった。  「うわっ…」 彼女がそう言いながら信じられないって顔でマジマジと私を見ながら 私の胸にそっと両手を置いた。  「すごっ!でっ、デカいね… ホリーって小柄で華奢なのに ボインなんだ。いいなぁ!Fカップだねこりゃ」 び…び…びっくりした。 なんで、ピトッて触っただけでサイズがわかったんだろう? 胸が大きくたって別に何もいい事はないのに… ブラウスなんて身体のサイズに合わすとボタンが留まらない。 強引に胸のボタンを留めたら数分後にはボタンが弾け飛んだ。 服のサイズにも困るし重いから肩も凝る。 大きめのパーカーで目立たない様にしてるけど 可愛い服は着れない。 谷間を強調する挑発的な服なんて(着る勇気はないけど) チェイスとリアムが自分たちのシャツや ジャケットで私をくるむだろう。 アレックスはそんなことは意に介さず 次はリアムに抱き着いた。  「リアムからはすごくいい香りがするんだよね」 リアムはレモンとライチの香りがほのかにする SAMOURAI LIGHTのオードトワレを愛用している。 この香りはリアムとして私にインプットされていて安心する。 くるっとチェイスの方に翻ったアレックス。 チェイス、次は自分に飛び込んで来るって覚悟して構えてたようだ。 勢いよくチェイスの胸に飛び込んだ彼女は 頬をチェイスの胸に押し付けながらWow♪って嬉しそうに チェイスの胸をペタペタ触った。  「この胸板でガシッと受け止めてもらえそう~っ。 鍛えてるでしょ?腹筋も割れてるんだよね!見せて」 チェイスの胸のボタンに手をかけて 外そうとするアレックス。 衝撃的な光景に私はあわわ…あわわ…と熊の様にウロウロしてしまった。  「こらこら、やめろ」 アレックスの手首を掴んで自分から離したチェイスは 車に乗り込もうとドアに手をかけてアレックスを振り返った。  「男の胸板に惚れてコロッと落ちる様なアホな女になるなよ」 チェイスのこの言葉は私に突き刺さった…。 レイチェルを意識し出したのは一昨日、木曜の夜。 ベッドの上にいた天使におののいて(その時はアンジーだとわからなかった) ダッシュで階段を駆け下りてレイチェルの胸に突進したあの瞬間から。 しなやかで細身のレイチェルの胸板ががっしりしてて戸惑ったんだっけ。 私はレイチェルの胸板に惚れたアホな女なんだろうか… ショックでヨタつきながら車に乗り込んだ。 運転席のドアを開けたレイチェル。  「アレックス!イケメンの患者が来ても絶対押し倒しちゃダメよ! 胸筋や腹筋確かめるのもなし!」 アレックスはケタケタ笑いながら敬礼して「了解っ!」 リアムが助手席、チェイスと私は後部座席。  「連日こっちの都合でつきあわせることになって悪いなレイチェル」  「あら、チェイス気にしないで。 縫合してしばらくは違和感もあるし、痛むしね。 運転手引き受けるくらいお安い御用よ」 レイチェルの運転で車は家に向かって走行しだした。
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