High Way To Hell

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 街路灯に佇むアメリカンビューティに私たちが気づく少し前から 録画映像を再生した。  「ちょっと!何?あの街路灯の空間だけ歪んでない?」 確かにアメリカンビューティがいた街路灯の周りの空間だけが歪んでいた。 異空間みたいだ。  「拡大して見る事は出来る?」 レイチェルがサッと椅子をリアムに譲った。  「どうかな…ズームしてみたところでディティール(細部)が 再現されるわけじゃない。画像が粗くなるだけだと思うが… もう少し街路灯に近づいたあたりでスロー再生してみるか。 奇妙なものが映ったところで一時停止するぞ」 普通に再生すると突然、アメリカンビューティの姿が 街路灯に現れた様に見える。 スローにしても瞬間を捉えていない。  「ダメだな…秒間の画像を増やしてなんとか5fpsにしてみるか」 リアムが独り言のように呟いたあと、パソコンで何やらやっている…。 5fps? 秒間の画像を増やす? ついていけない……  「frames per secondの略だ。 噛み砕いて言うと… 1秒間を5つの画像にして見てみよう」 リアムはそう言ったんだ」 チェイスが教えてくれた。 私って……ホント何も知らない。 もう一度、リアムがアメリカンビューティが街路灯に現れる 直前の映像をさっき言ってた5fpsに置き換えて再生した。 それを見た瞬間、みんな言葉が出なかった。 歪んだ空間にどす黒いミスト状の霧みたいなものがじわじわと広がった。 それはだんだん形を成して…… 悪魔が現れた。f2f3ba6f-5a9f-47bd-9291-2410cfb43828 その姿を現したのは1秒にも満たないコンマ何秒間。 次の映像では女性(アメリカンビューティ)の姿に形が変わっていた。  「こいつ…一体何者?」  「悪魔に見えるよな…」 「中学生くらいの女の子にも姿を変えられると思う… 私が路地裏で遭遇した時はその姿だった」  「何にでも化けられるってことか?」    「 」  「なるほどねぇ」  「アメリカンビューティをシェイプシフターっぽいって 俺とリアムが言ったのは当たってたわけか」   ちょ… ちょっと待って!! 今、シェイプシフティングデーモンって声…… 自然に会話の中に入って来たから まるで最初からそこにいたみたいに受け止めてしまったけど 私たち4人の誰かの声じゃなかった。 みんなそこに気付いてピタッと会話が止み沈黙が流れた。 パソコンのキーボードの上にひらひらと落ちて来たのは 20cmは軽く超える真っ白な羽。 94a5d66d-6923-4927-a6aa-b0ab7555b7b3 私たちは一斉に振り向いた。
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