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Story Of Heavenly World (天界)
「どこから話そうかなぁ。長くなるわ。
みんなそこに突っ立ってないで座ったら?Be my guest」
「ここはお前の家かよっ?!」
すかさずチェイスのツッコみが入ってみんな大笑い。
張りつめていた空気が和んだ。
ソファで胡坐をかいて頬杖をついたアンジーが神妙な面持ちで話し出した。
「今、世界中にわけのわからないものがたくさん蔓延っているの。ま、昔からそういうのはいたんだけどね、今は異常事態。数が比じゃないわけ。災害やウイルス、クーデター、弾圧、空や海の覇権争い、サイコな犯罪
色んなことが頻繁に起きてるでしょ」
「そのわけのわからないものって、大半の人には視えない存在を指してるのよね?」
「そういうこと。
お兄さん、兵士だったのよね?!極限状態の世界で人間の精神を蝕んだモンスターを見てきたでしょ? そんなのが既に一般市民に紛れて潜入してる。
開いたのは地獄の扉だけじゃない。
様々な世界が存在する異世界の扉も、よ。
ねぇ、ホリー。
そこのヤンパパ2人から人の魂が色んな星の出身なんだって話を聞いたわよね?」
チェイスとリアムの眉がピクッと動いた。
たぶんヤンパパ2人に反応したんだ…
「う…うん。変わり者って言われたり社会に溶け込めない人の中には
地球に貢献しようと別の星からやって来たのに地球のルールやシステムに馴染めない魂の人もいるって」
じと目でチェイスとリアムを見たアンジーは
「あんたたち、表の部分しか話してないの?裏も教えておくべきでしょ!」
「ビビらせる必要があるのか?」
「私が現れたことと関連するの。それにもう巻き込んじゃったって
言ったでしょ?部外者じゃない」
チェイスがサイドテーブルをバンッ!と叩いて
「Bull shit!関わらせてくれなんて頼んでねぇ!」
「娘を守りたいなら裏の影の部分も彼女に話して。
……私もホリーを守りたい。知ってもらわなきゃ始まらない」
リアムに促され、チェイスは静かにソファに腰を下ろして私を見た。
「他の星…まぁ異世界でもいいか。そこから地球の為に貢献しようと来る魂に対して逆も存在する。殺戮、侵略、争い、憎悪を蔓延させたくてやって来る魂だってある。人の皮を被った悪魔って表現があるだろ。
単なる例えとしての表現だと思われてるが…違う、マジだ。
人間だがな、魂はヤバい」
背筋がゾクッとした。だけど、合点がいく。
なんだか冷酷な光を瞳に宿ってる様な人
笑っていても獰猛な恐ろしさを纏ってる様に感じる人っている。
魂が怖い星の出身なんだ……。
「ここからは私が話す番。
魔界はもちろん、それ以外の異次元空間のヤバい奴らが
異星出身の邪な魂を持つ人間と契約してタッグを組み始めてる。
それだけじゃないのよ。
世の中に落胆したり、絶望しかけている……本当は
地球で役に立ちたかった魂を持つ人たちに
必要ない人間はふるいにかけて制裁を加えようと
たぶらかして仲間に引き入れてる。
例えば新興宗教のベールに身を潜めるとか
デモを隠れ蓑に混乱を起こす
逆に武器を持たずデモを起こしている
善良な市民を攻撃する…そんな形で目に入ってるはずよ。
もう…ね。
世界中であらゆる変なものが入り乱れて収取がつかない状態なの。
仏教ではこのご時世を「末法」と言うらしいけどね。
天界も黙って傍観していられない事態なわけ。
けど手が足りないのよ。
だから、私みたいなのも増えてるわ」
元人間の天使が他にもいる、そういうことだろうか。
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