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「魔界と異次元の奴らが手を組んで人間界に入り込んだ。
秩序を乱しカオスな世の中にしたがってる。
その話はしたよね。
あいつら共同研究で地獄に堕ちたあらゆる世界の
魂のエネルギーを組み込んだSEEDを開発して
作為的に選んだ人の魂に植え付ける実験を始めた。
あ、花や野菜の種とは違う。
エネルギー体の粒でヒマワリの種くらいの大きさかな。」
声のトーンを落としたチェイスが小さな声で私に
「魔界のMad Scientist笑える…」
アンジーはしっかり聞こえたようだ。
冷ややかな視線を向け
「アンタたちの住むこの世界の科学技術、テクノロジーなんて
ショボいもんよ。
天界のコンピューターシステムだって人間界のレベルじゃ
太刀打ち出来やしない。私たちは入って見ることは不可能な
更に上の次元でそういうことやってるわ」
「天界の技術で魔界のMad Scientistの悪行を
阻止すりゃいいだろうが」
「人間界にそんなもん持ち込めるわけないでしょ。
アンタたちの住むこの世界へダイレクトに干渉出来ないの!
Mad Scientistだなんて余計な横やり入れるから
脱線したでしょ!
とにかく、自暴自棄になって暴力的になりかかってる人や
邪な考えに飲み込まれそうな人
人が持つ邪悪な黒い部分へのEdge Of Fallにいる人を見つけて
SEEDを埋め込む任務を請け負った奴らの一人が……
ホリー、あんたが路地裏で目覚めた時に出会ったあの美少女」
ゾッとした。
「姿を変えるんだよ…ね?図書館でアンジーが私に憑依した時は
彼女、大人の女性だった」
「あいつの名はイザベル… 適当に名前を付けたんでしょうけど。
本当は誰でもない。
闇堕ちした元POWERSの天使のエネルギーを軸に
シェイプシフター、悪魔、18世紀後半に魔女狩りで殺され
悲しみと怒りに囚われた少女の魂それらの寄せ集めよ。
わかりやすく言えば継ぎ接ぎだらけの魂ね。
初めてホリーの前に現れた時の姿は
魔女狩りで殺された少女の魂の記憶」
「ちょっと…元POWERSって…
元Navy SEALsだった私としては気になるんだけど」
「POWERSは最前線で悪魔と戦う部隊だから悪魔の誘惑に負けて
闇堕ちする天使も少なくない。私が関わったPOWERSの映像を見せたでしょ。
最初のいかつい2人は慈悲深いし堕ちた仲間の為に
涙を流せる戦士。私は美形のPOWERSよりずっと好きだった。
ホリーの好きそうなPOWERSは……
冷酷無比で任務を遂行するター〇ネーターって感じかしら」
天使も見た目で判断しちゃいけないんだ…今、知った。
そんな私の心の声を見透かした様にアンジーは肩をすくめながら
苦笑い。
「ミカエルの部隊に所属する私たち天使もどきにも招集がかかってね。
適切な人間と契約を交わしてSEEDから人を護れと
任務が言い渡された。
下界に降りる準備を始めていたのよ私。
その時、ホリーの魂を通じて近くに禍々しい気を感じた。
ホリーの魂の光をキャッチして慌てて降りて見たら
図書館にいるホリーの近くにあいつがいたわけ。
尾行してあいつのやろうとしている事を阻止しなくちゃ!
って……ホリーの身体を借りちゃった。」
「服の貸し借りのノリかよ?!」
すかさずチェイスがツッコんだ。
この後、私はかつてない大きな運命の岐路に立つことになる。
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