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ああ… これで防犯カメラに録画された自分を見た時に感じた
あの違和感の説明がつく。
アメリカンビュ…じゃなかった、イザベル。
防犯カメラ映像に映った私は鋭い目つきで尾行するドラマの女性刑事みたいだった。それにぽや~んとした感じがなくて賢そうに見えた。
アンジーに憑依されていたから姿は私だけど私じゃなかった。
普段の私だったら外では人と目を合わせないでうつむいて歩くもの。
足早に歩いて平面でコケたりすることもたまにあって…
逆に注目されパニックになる。それが私……
「悪役レスラーみたいな男にイザベルが触れた途端
意思のない操り人形の様になったのはSEEDを埋め込まれたせいだな?」
リアムの問いかけにアンジーが頷くと
「あの男、最近とことんついてなくて八方塞がりだった。
何の理由もなく切り捨てで仕事を解雇され、生活に困っていた様よ。
アパートも家賃が払えなくて追い出されて、唯一手元に残った
自分の車で寝泊まりしてたけど、それもレッカーされた。
自分をクビにして、のうのうと笑って生きてる上司を殺しに行こうと
銃を持っていた。
人間が放つどす黒いものはイザベルたちの好物よ。
植え付けたSEEDは憎悪、妬み嫉みを養分として魔物に変化し…
宿主の人間の魂と徐々に同化していく。
乗っ取った人間の記憶もコピーするから誰にも気付かれない。
人の皮を被った悪魔や異世界の生物の出来上がり」
気付かないうちに家族、友人、恋人、隣人、職場の人たちの魂が魔物かも知れない。そんなホラー映画の様な事態が現実に?!
「そのエイリアン対策は後で聞かせろ。
で?人気のない路地裏で眩しい閃光が走った時に何があったか説明してもらおうか」
チェイス、動じてパニクったりしないなぁ。
前にリアムが笑いながら、ゾンビウイルスがアウトブレイクする世界になってもチェイスにくっついて行けば生き延びられる可能性が高い、
そういうタイプだよあいつは…って言ってたけどホントにそうかも知れない。
「途中でイザベルが私の存在に気付いて尾行がバレた」
アンジーは肩をすくめてエヘッって感じで苦笑い。
「なんてマヌケな天使なんだお前は…」
「人気のない場所へ誘われてるのはわかってたけど
尾行がバレたからって、追跡をやめるわけにいかないでしょ。
路地裏に入った途端、レスラー系男が襲ってきたわ。
SEEDが発芽して男の魂に食い込み始めてるのが視えた。
肉体を持つ人間相手だからホリーの身体で応戦するしかなくてね」
そこで突然、身を乗り出したアンジーが
「格闘した時、ある事がわかったの!」
その勢いと大きな声に私たち全員驚いた。
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