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Two Sides(月と太陽)
「バディもんの刑事ドラマじゃあるまいし… ホリーに何させる気だ?」
「私たち天界の者は存在する次元が違う。
だからこの世界では肉体がないわけ。
ホリーの身体を共有させてくれない?」
チェイス、リアム、レイチェルの3人が一斉に
「ちょっと待ったァァァッ!!」
「Wow、トリオの息バッチリね」
「ホリーの身体を分けっこなんて冗談じゃねぇ!」
ソファから立ち上がってあんなに動揺しているチェイス、初めて見る……。
思いのほか私はとても冷静だった、自分でも意外だけど。
アンジーにつっかかって行きそうな勢いのチェイスに
抱き着いて制しながら
「アンジー、詳しく説明して」
「私、承諾なしに2回くらい憑依したでしょ。
だからホリーの意識がなくなって記憶がとんだ。
ホリー、SEEDを見つけて消滅させる手伝いをして欲しいの。
承知してくれた時点で契約が成立する。
そうなると私が憑依してもホリーは意識を失うことはない。
私が表に出る時は……そうね
感覚的に身体の中でピッタリくっついて
私の後ろから見てる様なもんかな。
SEEDに抗う宿主の魂が助けを求めて手を伸ばしてきた時は
私の背後から彼らの手をしっかり掴んで。
その時のホリーの手はエネルギー体。
なぜなら肉体は私が司ってるから。
その瞬間、私が攻撃を加えて宿主の身体からSEEDを剥がす。
役割分担よ。
ま、そこに至るまでSEEDに操られた人間が攻撃して来たら
格闘しなきゃならないけど、私がホリーの中で表に出ているんだから
戦うのは私」
アンジーは肩をすくめて申し訳なさそうな表情をしながら
「身体はホリー」
「わかった。アンジー、一緒にやろう」
恐怖や迷いはなかった。
アンジーとならやれる!
何故か揺らがない信頼が根底にあった。
「待てホリー… 」
何か言いかけたチェイスを制したリアムが
「いつまでも俺たちの腕の中に娘を囲っていられない。
俺たちの腕をほどいて歩み始めたんだ、ホリーの意思で」
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