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お父さんが広い胸で子供たちをぎゅっと抱きしめてる光景があるけど
まさにその感覚だった。
私とアンジーが一緒にチェイスの腕の中にいる。
私の身体をアンジーとシェアしている奇妙な形ではあるけれど。
一瞬、驚いて目を見開いたアンジーは
次第に瞳に涙を滲ませてうつむいた。
『温かい…守られてるって感じるこの安心感は
こんなにも幸せな気持ちにしてくれるんだね』
そんなアンジーの言葉はテレパシーで私の中に。
『チェイスとリアムの胸はどんな私も愛して
受け止めてくれる特別な安全地帯だよ、引き取られてからず~っと。
アンジーと一緒にぎゅってしてもらえるこんな日が来るなんて…
嬉しくて私も涙が止まらない』
心の声でアンジーに答えた。
私の中のアンジーは深い笑みを浮かべると
チェイスに
「当時は出会っていなかったんだから、胸を痛めることない。
私が8歳の時はレベッカと同じくらいの17、8だったんでしょ」
「アンジー…勝手に俺の心の中を読むな」
「それにね、もっと生きたかったとかそんな執着、未練は私にはない。
そんなもんあったら、天界でこの仕事に就けないよ。
8歳で命を落としても妹を生かす、その天命と使命を魂レベルで
私は受け入れ、人間界でミッションコンプリートした、それだけ。
知ってるでしょ、生きてる人間が強すぎる喪失感、悲しみをいつまでも
引きずってると、天界に辿り着きたい魂の足枷になるって。
あれマジだから。
それと、こんなにも深い愛情をホリーに注いで育ててくれて感謝してる」
突然、チェイスが私の身体を自分から離すと
リアムの方にドンッと押したもんだから、リアムめがけて突っ込んだ。
ガシッと受け止めてくれたリアムはそのまま何も言わず
優しく抱きしめてくれた。
アンジーのテレパシーが入って来た。
『彼もとても温かい……慈愛に満ちたハートの持ち主だけど
思考はドライに努めてるようね。
身体栄養失調で発育状態が悪かったホリーの身体を
ここまで健康な状態に引き上げてくれたのはリアムか。
最高の親2人に恵まれてるね、2人は夫婦じゃないのはわかってるけど
そこらの夫婦よりいいコンビだよ。
……彼、私に読まれない様に心に鍵をかけて遮断してるわ。
たいしたものね』
アンジーとレイチェルの目が合った途端、彼は
「私は部外者。
この光景を微笑ましく見てるから」
とけん制した。
アンジーがクスッと笑いながらスッと私の身体から離れた。
そして
「まだやらなきゃいけない事も話すこともあるの」
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