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「ホリーこっちに来て、私の目の前に立って」
言われた通りアンジーの前に立った。
「ホリー、ピアスを外して」
「えっ…ピアスのおかげで視えずに済んでいた怖いものはどうなるの?」
「大丈夫、この家は強力な結界で守られていて
禍々しいものは入れない、それについては後で教えるから。
ピアスがリアをホリーの中に封じ込めてしまってる。
あいつには好都合だったけど、これまでよ」
恐る恐るピアスを外すとアンジーが私のみぞおちの辺りに
手を置いた。
私の身体から離れたアンジーは肉体を持たないエネルギー体。
触れられた感覚は私には一切ない。
眩しい光がアンジーの全身を覆った後、それは
私のみぞおちの上に置かれたアンジーの手に集まると
まるで意思を持っているかの様に私の身体に徐々に流れ込んできた。
やがてアンジーの手から、全ての光が私の全身を覆ってしまった。
内側から私のチャクラが全部開かれて活性化してる様な…
自分の中の澱みが浄化されて澄み渡っていく感覚。
背後から苦し気な呻き声が聞こえた様な気がした。
振り向くと私の背中から黒い靄が飛び出し
のたうちまわっている。
私の腕を掴んだチェイスが自分の元に私を引き寄せると
背後から抱きかかえてくれた。
黒い靄から苦しそうに悶え、すすり泣く女性の姿が見える。
生前の面影はないけど、リアだ……。
アンジーは冷ややかに見つめたまま
「ホリー、ピアスをつけなさい」
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