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「良かったわ、魂の芯にブレがなくなった。
笑顔を見せても瞳の奥は悲哀に満ちた色をしてたし
ある意味アイスマンだったものね
元特殊部隊のお兄さん」
「アンジー、私の事は普通にレイチェルでいいから……」
「アイスマンか…
初めてレイチェルを拾った時の事、覚えてるか?チェイス」
「ああ、忘れもしねぇ。
ビジネスマンが多く行き交う雑踏の中
道端に座り込んでて目立ってた。
高熱で意識が混濁して立てなかったくせに
俺に近づくな、触るんじゃねぇ!って眼光が只者じゃなくて
あの目にはさすがの俺も一瞬引いた。満身創痍で死にかけてるのに
抵抗する獰猛な獣みたいだったよな。
普段なら、面倒に巻き込まれる事を避けて無視するところだが…
兵士の霊を見せられたのも縁だったのかもな。偶然じゃないって今なら断言できる。リアム、さっき隊長の顔を見たか?」
「眩しすぎて、よく見えなかった。
チェイス、お前は?」
「俺もだ。高熱を出して座り込んでるレイチェルの
傍に立って俺たちに『頼む、拾ってやってくれないか?』って
懇願する様な目を向けていた兵士の霊と同一人物だと直感で思った」
「あの時の私の傍に兵士の霊が立ってたなんてその話…
初めて聞くんだけど」
「いちいち言わなかったからな。
レイチェル、Cooper小隊長の写真を持ってないか?」
リアムにそう言われ、スマホを取り出して操作したレイチェルが
画面を差し出した。
「偵察で中東のある街に潜入する前の小隊長を撮影した写真よ」
画面を覗き込んだ2人が声をあげた。
「間違いないな」
「ああ、精悍で端正な忘れられない顔だったからな」
気になる!私も見せてもらってもいいのかな……
「レイチェル…、私も見せてもらってもいい?」
「もちろんよ」
さっき私が見た隊長さんの顔だ!間違いない!
任務で潜入する前の写真だろうから、お仕事の顔だと思うけど
さっきは笑顔でとてもお優しそうでステキな隊長さんだった。
「彼はレイチェルをチェイス達と繋げたかったのよ。
隊長さんね、死んだ後も仲間の隊員を幽玄界から
光の世界までしっかり導いて一緒に連れて行ったよ、すごいね」
アンジーにそう聞かされたレイチェルは満足そうな笑みを浮かべ
「絶対に仲間を見捨てない人だもの」
チラッとチェイスを見遣ったアンジーとチェイスの目が合った。
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