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「最後のメッセージに行きましょうか。
誰からか察しはついてると思うけど」
リアムも私も同じ人を思い浮かべているだろう。
彼以外、考えられない。
「かつてのBuddyアイザック、そうだろ」
チェイスの声は淡々としていた。
「ええ。
さっきの隊長さんの様に少しなら彼と直接繋げる事も出来るけど?」
少し考え込んだチェイスは顔を上げるとハッキリ
「いや、俺があの世に行ってからの楽しみにとっておく。
再会した瞬間、2~3発は殴るつもりだから備えて鍛えとけ。
後であいつにそう伝えてくれ、アンジー」
「わかった。ああ…伝えるまでもないわ。
上で聞こえたみたい。仕事しながら苦笑いしてたのが見えちゃった」
仕事……じゃあ、彼は天界で役割を担っているんだ?!
「彼… 自死した後、魂が肉体を離れてから
相当キツい試練を受けたの。
あ、地獄じゃないから安心して。
天界でどうしても就きたい役割が彼にはあったのよね。
許されるには試練を乗り越えなければならなかった。
試練の入り口には怖い番人がいて、そいつの許可が下りないと
入ることは出来ない。
そういうエリアもあるのよ。自死を選んだ魂だから課せられる試練は
相当過酷なものになった」
アンジーから伝えられたアイザックのメッセージはこうだった。
『僕が自死を選んだ事でチェイス、君は打ちのめされて
慟哭の中からしばらく抜け出せないんじゃないだろうか?
そんな自責の念に圧し潰されそうになる度
闇の世界から鎖が僕の手足に巻き付いて引きずり込もうとした。
生きる事をギブアップしてしまったのに、またここで
同じことを繰り返すわけにはいかない。
君に残した手紙にも天界でやりたい事があるって書いたのに
出来ませんでしたなんて、情けないにも程がある。
もう自ら命を絶って終わらせる事は不可能だろ
既に死んでるんだから』
それを聞いたチェイスがフッと笑った。
「No doubt!」
『お前の事を心配している、それは裏を返せば
お前の事を信じてない、そう言われてる様で気に食わない
チェイスがよく言っていたのを思い出したんだ。
きっとチェイスは僕の死を乗り越え、人生を謳歌する
そう信じて心配しながら後ろを振り返る事をやめた。
はぁ?心配だって?俺を見くびんな!って不機嫌になる君の姿が
頭の中に浮かんでね、思わず吹いた。
チェイスの周りには見返りを求めることなく
力を貸してくれる人たちもたくさん集まる。
そんな魅力に溢れてる誇らしくて自慢の親友、それが君だ。
迷いや不安を脱ぎ捨てた僕は試練に飛び込んだ。
クリアしたよ、決して簡単じゃなかったけどね。
やり遂げた。その後、一度だけチェイスに向かって
声を届けた事がある』
あ!
児童養護施設で鳥さんとお話してた私をチェイスが見つけた時だ。
あの子を助けて!ってアイザックの声が聞こえたって
チェイスが言っていた。
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