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私はウンウン頷いた。
それに続いて、チェイス、リアム、レイチェルの3人もコクリと頷いた。
すぐに頭の中に男の子の声が入って来た。
『よくわかんないけど、いつの間にか日本を離れて
この国でボクはヒョロヒョロの挿し木の状態で売りに出されたんだ。
見覚えのある懐かしい魂が園芸店に入って来たのを感じた。
転生して姿はアメリカ人の男の子だったけど
過去世で、日本の地でボクを慈しんで世話をしてくれた神主だって
すぐにわかった』
私とレイチェルがハモった。
「What's KANNUSHI?」
チェイスとリアムが同時にハモって答えてくれた。
「Shinto Priest」
それでも、どんな姿か全く想像がつかない。
すぐにスマホでShinto priestを画像検索して、雰囲気はわかった。
私も日本人の過去世ってあったのかな。
日本のアニメで見たことがあるShrine Maidenだった過去があったらステキ。
そんな心の声が聞こえたのか
金木犀の男の子はアンジーと私を交互に見つめ
『あったよ。昔の日本で姉妹揃って巫女だった時代もあるけど…』
すぐにアンジーが割って入った。
「待って!ホリーが過去に起きた事だと割り切る事が出来るなら
知っても問題ないけど、それが出来ずに過去の出来事に引きずられるなら
知らなくてもいい」
「私は大丈夫!スピリチュアル的な事に夢中になり過ぎるな、
地に足を付けて生きろってチェイスとリアムに育てられたもの。
アンジーと巫女だった時に何があったの?」
『自分の都合のいい様に神の言葉を歪めて人に伝える様
巫女たちを脅して利用しようとする権力者がいた。屈することなく抗って
2人共、殺されたよね』
そんな時代にアンジーと生きていたこともあったのか…
チェイスたちが心配そうに私を見た。
「大丈夫だから。今は自分で生き方を選べるアメリカで
大好きな人達と暮らしていてすごく幸せ!」
チェイスが私を抱き寄せて頭頂部に軽くキスをしてくれた。
『続けるね。
ボクはアメリカ人の男の子に転生した彼に見つけてもらいたくて
店の中から必死で呼びかけた。
すぐにボクの存在に気付いて手に取ってくれたから
彼の中に刻まれている過去世のレコードを一部だけ映像で見せた。
神主だった彼がご神木として祀られていたボクを慈しんでくれた頃のね。
時を越えた再会をとても喜んでくれた彼はボクを手に入れてくれた。
彼の部屋でたくさん話した。
アイザック=バトラーとして、アメリカ人に転生しているけど
魂が持つ特異な能力はそのままで苦労してるとか、色々ね。
ある日、彼に頼まれたんだ。
ボクの大切な親友のところに行くんだ、彼を護ってやって欲しいって。
全てを懸けて忠誠を尽くすと過去世でも誓ったアイザックの
頼みだもの。全力であの子を護らなきゃって思った』
金木犀の男の子がチェイスを見てニッコリ
『大きくなったよね』
レイチェルとリアムがプッと笑った。
「……ああ、おかげさんで、な。
もう33の大人だ。そういうお前も大きくなったな」
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