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「ベッドの上にいたんだろ?」
「そう… あぐらをかいて
頬杖をついて私を見てた。」
チェイスの脇の下から顔を出して
自分のベッドを見たけど
彼女は忽然と姿を消していた。
そうだ!
ドレッサーの前に彼女の羽根としか
思えないものが落ちてきたんだ。
探したけど、それも消えていた。
「柔らかそうでフワフワした羽根が
ここに落ちて来たの。
羽毛布団から出る羽根とは思えない大きさだった。
彼女の背中の羽根だと思うんだけど。
なくなってる。」
「ねぇ、羽根の色は白だった?」
「うん、真っ白で立派だった。」
「じゃ天使で決まり、ね。」
私がイメージする天使は赤ちゃん体型で
プニプニした肌で幼くて…
彼女は全然違った。
リアムが私を覗き込んだ。
「彼女を見た時、禍々しいものは
何か感じたか?
ほら、路地裏のアメリ〇ンビューティーは
嫌な感じがしたろ?」
どうだったかな…
ねぇ!と声をかけられて
飛び上がるほど驚いて逃げたから。
記憶している彼女の姿を思い出してみた。
人懐っこい感じの笑みだったし
瞳は吸い込まれそうなくらいパッチリしてて
優し気な目元。
取って食われそうな恐怖は感じない。
「キラキラしてとても明るそうな感じだった。
闇とかおどろおどろしいものは感じない…かな。」
「初めてだな、お前の寝室に得体の知れない
何かが現れるなんて。
というより、入れないはずなんだ。
入ったってことは… 霊格が高い。
聞いたところどうやら天使。
ってことは大丈夫だろ。
さっさとパジャマに着替えて寝ろ。」
そう言い残してチェイスは部屋から出ようとして
レイチェルもリアムもチェイスに続いた。
え… え?
ちょっと待って!
「一人で寝たくないっ!
一人で着替えるのも怖い!
歯磨きするのに鏡を見るのも怖い!」
必死に引き留めた。
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