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私にはたった一人だけ
お友達になれた子が幼稚園にいた。
その子は日本人の女の子で名前はメイ。
親の仕事で一年間だけこっちに滞在してた。
引っ込み思案でとてもシャイな子だった。
英語で話すのが苦手だからって
おとなしく目立たない様に行動してた。
話すのが苦手な私と会話はなくても
一緒にお絵かきしたり、ままごとをしたり。
並んでブランコに乗って
アイコンタクトでなんだか通じ合えた。
はたから見たらヘンな二人組だったんだろうな。
園以外のプライベートでもお互いの家を
行き来する仲良しに発展。
チェイスも向こうの親も
内気な我が子にお友達が出来たことで
大喜び。
家族ぐるみで交流するようになった。
メイがお泊りに来たり
クリスマスをウチで一緒に過ごしたり
楽しかったな。
卒園したらメイが日本に帰るのを知った私は
メイと私が手を繋いでいる絵を描いて
ずっとお友達でいてね、って一言添えた紙を
卒園式の日に持ってきた。
でも、渡す勇気が出なくてウジウジしてたんだっけ。
そしたら見かけない子が
私のそばにつかつか歩いて来て
「メイに渡すんでしょ?
付いて行ってあげるから行こうよ。」
って手を伸ばせば届くくらいの距離まで
メイの近くに私を連れて行った。
そしてニッと笑って
私の背中をトン!と押した。
無事にメイに描いた絵を渡せたのは
面識のないあの子のおかげ。
メイとは今でもメールでやりとりが続いている。
そう…
今、私の目の前にいる彼女が
メイの所に強引に引っ張って行ってくれた
あの子だ!
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