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「あ…あの!
あの時はありがとう。
国が違って離れていても
メイとは何でも話せる友達として
繋がってるよ。
あなたを見ていると
懐かしい気がするのに泣きたくなる…
どうしてなんだろう?」
7歳くらいの姿になった彼女は
寂しげな目をしたと思ったら
無言のまま踵を返して
背後のドアを開けて
出て行ってしまった。
後を追いかけたけど
何かに足がひっかかってコケそうになった途端
右足がビクッと動いて目が覚めた。
夢でつまづいたから
現実で寝ている私の足も連動して
反応したんだ。
階段を踏み外す夢を見てもこうなる。
チェイスたちの静かな寝息が聞こえる。
まだ夜は明けてない。
眠くて目を開けていられなくて
再び眠りに落ちた。
次に夢に出て来たのは
薄暗くて散らかった部屋。
ボロアパートの一室だと思う。
ドレッサーの鏡に向かう
スリップ姿の女性の後ろ姿。
鏡に映る女性の口元だけがハッキリ見える。
顔は靄がかかっていて
わからない。
真っ赤なルージュをひく女性の唇だけが
鮮明にハッキリ鏡越しに見える。
この場面は起きている時にも
ふとした時に思い出す
不可解な記憶の断片だ。
私はすごく幼い小さな子供になっている。
部屋の隅にうずくまって…
動かない方がいいっていうのは
なんとなく感じていた。
そんな私にピッタリと体を寄せて
座っている小学生くらいの
髪の長い女の子がいる。
顔は見えない。
ルージュをひいていた女性は
私たちの方を振り返り
わめきながらモノをぶつけてきた。
髪の長い女の子が瞬時に私に覆いかぶさり
ギュッと強く私を抱きしめた。
怖くて私は声をあげて泣き出した。
スリップの女性はこっちに向かってくると
私に覆いかぶさっている女の子の
髪の毛を掴んで引きずり回した。
恐怖で声をあげて泣きわめく幼い私。
私の名前を呼ぶ声が遠くで響いて
やがて耳元でハッキリと聞こえ
目が覚めた。
チェイスが私の名前を呼びながら
体を揺さぶっていた。
そばで心配そうに見ている
リアムとレイチェル。
濡れた頬で自分が泣いていることに気づいた。
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