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レイチェルは
優しく私の髪の毛をとかしながら
「髪質は細いのね、いい感じで
うねりがある猫っ毛だし、バッサリ切って
ボブにしても可愛いでしょうね。
いつもテキトーにひっつめてるでしょ。
この細い髪、ゴムにからまったりしない?」
「そう。ゴムを外すとき絡まって
強引に引っ張ったらブチブチ音がして
たくさん抜けてる。」
「……。
そういう雑なところはチェイスっぽい。
父娘って感じだわ。
ホリーにあげたくていいモノ持ってきたのよ。」
手渡された可愛い包み。
開けてみると、レース編みの針みたいな
スティックが二本。
ひとつは中に花柄が描かれた
可愛いガラス玉が先に付いていて
葉のチャームがぶら下がっていてすごく綺麗だった。
もうひとつはシルバーの三日月が先に
ぶら下がっていて、これも可愛い。
「先月、日本に行った時に
見つけたのよ。ヘアアクセサリーで
KANZASIって言うの。
やり方も店の人に教わったわ。
鈍くさいあんたでも、絶対出来る!
髪の毛の束をねじって、このスティックを
突き刺してクルンと回せば出来上がり。
クリップやゴムみたいに髪の毛を痛めないから
いいわよぉ。見てなさいよ。」
そう言って私の髪の毛を後ろで束ねて
クルクルねじったところにスティックを差して
クルンと一回転させたら
あっという間に髪の毛がキッチリまとまった。
レイチェルがスティックを引き抜くと
スルリとほどけた。
これすごくいい!
レイチェルにやり方を教わって
私でもすぐに習得出来た。
「ありがとう!
すごくステキだし便利。」
「良かったわ、気に入って。
あとは、そのベーシックすぎる服よ。
ホリーはパーカーにジーンズが定番よね。
クローゼット見てもいい?」
「う、うん。」
「なーんだ、全く何も持ってないわけじゃないのね。」
レイチェルは
クローゼットから赤いワンピースと
フェイク生地の革ジャンを出してきた。
ワンピースはリアムがプレゼントしてくれた。
フェイク生地の革ジャンはチェイスが
バイクに似合うからってプレゼントしてくれたやつ。
本物の革ジャンは手入れがいるし
面倒だろ、偽物でいいよなって。
「合わせてごらんなさい。
バ〇オハザードのアリスっぽくなるから。
部屋の外に出てるから着替えたら呼んで。」
言われるがままに合わせたけど
落ち着かない。
部屋に入って来たレイチェルは
「似合うじゃない!
ちょっと軽くメイクしてあげるから座りなさい。
若いんだし、気合い入れて
ケバいメイクにする必要ないから。」
あまり持っていない私のメイクアイテムを使って
手早く顔に触れるレイチェルの手の動きが
心地いい。
「はい、出来た。
ハードなジャケットに
キュートなワンピのコーデ。
そんな正反対のテイストって合うのよ。」
鏡に映る自分に驚いた。
でも、すぐに頭の中にあの声が聞こえた。
↓(余談:作者が日常使っている簪を作中に取り入れてみました)
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