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『何を着たって似合わない』
『あんたは醜い』
『ブスで器量も悪い、欠陥品』
あざ笑うような声が頭の中にこだまする。
「ホリー、どうしたの?」
「私、ブスだし。
オシャレしても、指を差されて
笑われると思う。」
「ハァァッ?!
あ、ごめん。声を荒げて…。
ねぇ、何か深く傷つくような事が
過去にあった?」
チェイスとリアムにはずっとこの事は黙っていた。
レイチェルになら話せる。
「鏡を前にすると
お前は醜い、綺麗になんかなれない
みんな笑ってるさ
器量も悪い欠陥品
そう頭の中で囁く声が子供の頃から聞こえる。
私はオシャレとは縁がないんだ
ブスだから目立たずにいればいいって
思ってきた。
だから着飾ったりするのが怖いし
写真も撮りたくない。」
「我が子に毒リンゴを与える様な親が
植え付ける呪いの言葉っぽいわね。
チェイスとリアムがホリーを貶める様な
言葉をかけるなんて考えられないし。」
「うん。私は私でいいんだって
前を向ける言葉をくれる。
場面緘黙で話せないのは
お前が弱いからじゃない、って言ってくれた
この言葉は支えになってる。
二人は私のことを可愛い、美人だって
言ってくれるけど、それだけは
どうしても素直に受け取れない。」
「あーっ、なんか腹が立つわ。
誰だろう… あんたに嫉妬して呪縛してる奴。
ホリー!」
「は、はい。」
「眼鏡をかけてたらわかりにくいから
もったいないんだけど、あんたの緑の瞳は
すごく綺麗よ。確か人口で2%くらいしか
いないレアな瞳なの。
神の色って言う人もいる。
チェイスのHazelは瞳孔に近い部分が
ライトブラウン、周囲がライトグリーンで
あれも綺麗なんだけど
アメリカ人には多いし、レアじゃない。
リアムの碧眼も美しいブルーだわ。
私とリアムの瞳の色はよく似てるわよね。
とにかく!あんたは美人さんよ。
私はおべんちゃらは言わない。
知ってるでしょ?!
くだらない呪縛の声と私、どっちを信じるの?」
「レ…レイチェル?」
「なんで疑問符を付けるのよ。」
「もう、いつもの普段着に着替えていい?」
「その姿でチェイスとリアムを出迎えて
反応を見たいんだけどね。まぁいいわ。
さ、私は仕事、ホリーは勉学。
ダイニングで一緒にやろうか。」
この時は知る由もなかったけど
私の頭の隅に入り込んで長年
呪縛の言葉を囁いていた声の持ち主が
後で判明する。
(フリー画像。ホリーのイメージです↓ 作者)
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