第四章 ヤマト視点 長い揺らぎからの目覚め

3/3
前へ
/126ページ
次へ
「あなた!!  もう体は大丈夫なの?!」 「・・・もしかして、あの家の住民ですか?」 そう言って自分は、飛び出した部屋を指差す。その部屋に、2人の夫婦が口を開けたまま立ち尽くしていた。 今自分の目の前にいる女の子は、多分あの夫婦の娘だ。 自分はその子に、助けてくれたお礼を言おうとしたけど、今更になって寒さがシミシミと体を蝕み始める。 女の子は焦って自分の手を掴み、そのまま家まで自分を連れ戻す。家にあった暖炉で体を温めながら、女の子は自分の足の裏を治療してくれた。 その間、女の子のお母さんが自分に温かい飲み物をくれた。真っ白で温かいその飲み物は、『みるく』という名前らしい。 『みるく』という飲み物はとても甘くて、口の中がとろける様。自分があっという間に飲み干してしまうと、おかわりを作ってくれた。 自分は3人との会話で、冷静に自分がどんな状況なのかがわかり始めた。 まず、自分の記憶の大半が、消えてしまっている事。 でも、自分の名前はちゃんと思い出せた、自分の名は、『ヤマト』だ。 でも、自分が何故船の中に居たのか、どのくらい海を漂流していたのかは、思い出せなかった。 そして、さっき自分と対峙した相手、その正体すらも分からない。 でも、何故かあの『異様な存在』を見た時、心の底から闘士が燃え上がり、自分でも気づかないうちに、奴を仕留めていた。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加