第二章 コーコ視点 騒ぎの訪れ

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「おーい!!!」 遠くの方で、近所のおじさんの声が聞こえる。私と母が声の聞こえる方向を向くと、人が大勢群がっているのが見えた。 人々が不安な表情でざわつきながら、あたふたしている。行方不明者が見つかった時よりも騒がしい気がした。 私は気になってしまい、一旦荷物をお母さんに預けて、騒ぎのする方へ駆け寄る。 そして、群になっている人々の会話に聞き耳を立てたけど、みんなが動揺している原因はよく分からない。 まるで、初めての出来事に、皆がどう対処すればいいのか分からない様な・・・。 「こんな事ってある?」 「いやいや、ワシはこの村に住んで長いが、まさかな・・・」 「だとしてもよ、『この人』一体何処の人なのよ・・・?」 「見た目からして、浮浪者か?」 「いや、それにしては見ない服だ・・・」 私は人々の群れの中から近所のおじさんを見つけ出して、一体何があったのか聞いてみた。 いつもはニコニコしている優しいおじさんだけど、今は顔を真っ青にさせて、冷や汗を垂らしている。 「・・・おじさん、大丈夫?  何があったの??」 「うーん・・・  コーコちゃん、『あの人』の来ている服に、見覚えないかな?  学校の授業とかで、『他国の衣装』についてとか、教わった事は?」 おじさんがゆっくりと指を刺した方向には、ボロボロになった船が一艘、川の岸辺に乗り上げていた。 かなり年月が経っているのか、所々の木が剥げている。そして花には、木が朽ちた嫌な匂いが忍び込む。 それだけ見た私は、嫌な予感がどんどん湧き上がっていた。これだけ船が朽ちているのだから、中にいたモノは・・・。 そう考えると、私の背筋は一瞬で凍り、少し身震いをする。きっと皆が動揺しているのは、私と同じ考えだからだろう。 おじさんのさっき話していた言葉の中に、『異国の衣装』という言葉があった。 船に乗っていたヒトが、このスガー大国の人間ではない、別の国から来たヒトである事も予測できる。 スガー大国はかなり広大な面積を有する国。隣の国から小船で此処まで到着するのに、数ヶ月はくだらない。 貿易船の様な、食料が十分に乗せられる大きな船ならともかく、人が数日かけて作った様な安易な船でなんて、絶対ありえない。
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