質問

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車輪の音と共に電車が来た。目の前で止まるとそれとは反対に心臓が速く鳴りだした。電車に乗りこんであのスーツを探す。シュッとして、それでいてとても似合っている。見つけると小走りで向かって、 「お仕事お疲れ様です」 と話しかける。やっぱり来たかと言うようにこっちを見て、 「学校お疲れ様、そんなに急いでこなくても良かったのに」 そう言って窓側を譲ってくれる。うん、さり気なさもかっこいい。 「辰さん苗字何?」 「会ってからずっと質問攻めだな、成宮辰だ。俺からも質問していいか?」 「もちろんです。なんでも答えます」 「なんで、俺に話しかけた?」 てっきり苗字を聞かれると思っていたので、予想外の質問で少し驚いた。 「それは…正直に言うと、憧れというか…タイプなんです。」 「ゲイなのか?」 「…はい」 「そうか、言っておくが俺はノーマルだからな」 諦めろって言われると思い、心臓がぐっと沈む。 「落としたいんだったら、頑張るんだな」 驚くと同時に嬉しくなる。好きでいてもいいんだと、そう言われた気がした。 「諦めろって言われるんだと思いました。」 「高校生のうちから諦めることばかり覚えなくていいだろ、今のうちだぞなんでも出来るの」 ふっと笑ってそう言った。確実に話す度に惚れている。
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