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「辰さん、いつもこの時間に帰ってるんですか?」 「いや、今日は早上がり」 この時間ならいつも一緒に帰れると思っていたので、少し残念に思う。 「いつもは、8時半に上がりだから9時台の電車だな」 「じゃあ、俺学校で勉強してから帰ることにします。辰さんともっと話したいので」 「いいけど、無理はするなよ」 「よっしゃ、ありがとうございます」 嬉しくて笑顔になる。 「こんなことで嬉しくなるんだな、そりゃよかったよ」 電車のアナウンスが鳴る。 「あ、俺次の駅で降ります」 「俺もだ」 「えっ!?駅から家近いんですか?」 驚いた。まさか同じ駅から通ってたなんて思いもしなかった。 「あぁ、なんなら隣のマンションだ」 「すごい…俺、そのマンションの裏の家です。こんなに近くに住んでたのに今まで会わなかったの悔しいな」 さすがに辰さんも驚いていた。駅に着き、電車から降りると会話を続行しながら、一緒に家に帰る。 「誰と住んでるんだ?あそこの家大きいだろ」 「1人です。親が中学の時に亡くなって、それから1人で住んでます。」 「そうか、寂しくないのか?」 「寂しいけど、たまに友達が泊まりに来るので、大丈夫です」 「まぁ、あれだったらうちにたまに来てもいいからな」 多分、同情だと思う。それでも、その言葉に甘えてしまおうと思う。 「嬉しいです。毎日行きそう」 「さすがにそれは柊の家が可哀想だろ」 思わず笑ってしまった。家が可哀想なんて、辰さんの可愛いところを初めて見た。 「あ、」 「どうしました?」 「今日来るか?早上がりだから晩御飯、鍋にしようと思ってたんだ」 「え!いいんですか?もちろん行きます!」 一気にテンションが上がる。こんな嬉しいことは無い。今日初めてあったばかりなのにこんなに進展するなんていつかバチが当たらないか心配だ。
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