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鍋
「お邪魔します」
「ここに座って待ってて、水?お茶?どっちがいい?」
「あ、じゃあ水でお願いします」
そう言って、その場に座り周りを見渡す。綺麗に整頓されていて、家具はシンプルなものばかりだ。
「思ったんですけど、辰さん彼女さんとかいないんですか?」
女の人の物がなさそうで、明らかに一人暮らしの部屋に見えた。
「1年前まではいたな、別れた」
「意外です。辰さんめっちゃモテそうなのに、でも失礼だけど俺的には嬉しいです」
「だろうな」
そう言いながら水をコトンと置いた。
「明日の予定は?何かあるか?」
「何も無いです。」
「そうか、ならゆっくりしていっていいからな」
「ありがとうございます、お言葉に甘えてゆっくりしていきます」
笑顔で言った。辰さん優しさが心を暖かくしてくれる。俺もこういう人になりたい。
「なんでそんなに俺に優しくしてくれるんですか?今日会ったばっかりだし、いきなり話しかけられて普通嫌な気分になりません?」
「自分で言うんだ(笑)んー、そうだな、柊の顔素直にかっこいいと思うし悪い人じゃないんだろうなってのは分かるし、なんか弟ができた気分で楽しいんだろうな」
料理を作りながらだったので、顔が見れなくて少しもったいない気がした。
「最初の2つは嬉しいんですけど、弟ってのは喜んでいいのかわかんないです」
「まぁ、これからよろしくな」
机に鍋を置いて、取り皿をくれた。
「いただきます。」
2人で鍋をつついて食べた。その日食べた鍋は今で食べたものの中で1番美味しかった。
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