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「何か用ですかー?」
《用がないのに掛ける訳ないよ・・・》
クスクスと笑ってやると、困り果てた様子の返事がきた。からかったことを素直に謝罪し、再び彼に発言を譲ると、なんとも嬉しそうな声がまずため息をついて。
《リフレッシュ出来たかなーって思ってねぇ。良かったー。声が全然違う・・・流石アインスまじ天使・・・》
心配性をこじらせたような男だと、つくづく思う。晴れやかな気分で微笑したぼくのことを、彼はとても喜んでくれた。
《帰りに牛乳とフ〇ーチェの元買っといでよ、お豆腐も。昼がダメなら夕飯に出してあげるから》
「夕飯も作ってくれるんですか?」
《や、まぁ、せっかくだから? 懐石料理は難しいけど、それっぽいおかずなら作って出せるし・・・今から送るリボンメールに書いてる食材買っといて? プチバイキング開いてあげるから》
「君はホントにお料理好きですねぇ」
《子どもん時からだしね、趣味に近いかも・・・さぁーて無駄話は終わらせるか。タカさん久々に張り切っちゃうから、買い出しヨロシクー》
「あ、嫁は元気ですか?」
タカさんの「ちょ」という拍子抜けした声が聞こえた。切ろうとした矢先の唐突な質問に、すっかりテンポが狂ったようである。
《あぁアンタの嫁さんね・・・さっきからソファーに寝転んで、時々鼻で笑いながら一心不乱にケータイ打ち続けてる・・・ちょっと怖いんだけど、何アレ・・・》
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