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正直な話、大笑いしそうなのを寸前のところで堪えているものの、努力もむなしく口元がたまに痙攣してしまう。
なんて愉快な光景だ。
「おーぅなんとかなんとか、って、大げさな英語っぽいモノをいい加減に言ってますよー・・・往生際の悪さとか、嫌がる人間のこと考えない辺りとか、バカですねぇ」
後ろにハテナはつけない。バカと断定しているから。少なくともぼくは、彼らよりもマシな人間であると断言してもいい。
《人のふり見て我がふりなおせ》
ボソリと、非常に小さな声だったが聞き取れた。
「失礼なー。嫌がったらやめるタイプですけど」
《アインスのお尻は?》
「嫌がれば嫌がるほど撫でたいです」
《キッパリ言うな・・・でも気持ち分かるよ、うん》
「君の方が触りますよねー、実際」
《オレらってバカ通り越して嫌な大人だねー》
「自覚してるだけいいんじゃないですか?」
しみじみと穏やかな会話をしていると、気付いた時には状況が変化していた。
「で、話戻しますけど、今バカ二人は立ち上がってアインスくんに詰め寄ってます」
男性と並ぶと、女性にしては高い身長で体つきもいいことがよく分かる。
それをカバーしているのが、あのハーフ顔。白人女性は日本人よりも格段に大柄な場合が多く、そのイメージが世間に広く浸透しているおかげで、彼は体格の違和感を上手くぬぐい去っている。
「珍しいですよ。アインスくんが押されて後退りしてます。たじろいでますねー可愛いですねー、ウケますねー可愛いですねー。泣きついてきてくれたら最高に楽しいのに。ああ、可愛いですねー」
《可愛いの分かったから、助けてあげたら?》
「え? ここで助けたら可愛いのがあんまり見れなくなるんですけど」
《アンタがそんなんだからアインスがどんどん歪むんだってば》
正論だが、自分の欲求を優先したいのでやめる気はない。
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