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最後の夏を、君と一緒に。
“仲良しのみんなへ。”
ツニッターに、そんなタイトルで四枚の写真がアップされたのは、その投稿主――加納流樹が交通事故で亡くなってから、おおよそ二週間が過ぎた頃のことだった。
夏休みももうすぐ終わる、八月の下旬。
仲良し五人組のひとりであった彼の突然すぎる死に、みんなが宿題も手につかないまま沈んだ気持ちで過ごしていた時のことである。幼稚園から地元で仲良しの僕らは、いつも馬鹿騒ぎをして先生に叱られる常連だった。
身体が大きくて力持ち、上級生のいじめっ子にも立ち向かう勇。
小学生離れした長身で、スポーツ大会ではいつも引っ張りだこの韋駄天少女、優樹菜。
大人しくて真面目、だけど本当に間違ったことは誰よりはっきり言う勇気のある眼鏡っ子、桜乃。
そして僕、佑理に――とても頭が良くて聡明で、けれどもちっとも偉ぶるということをしなかった流樹。いつも一緒だった五人のうちの一人が、まさか小学四年生で欠けてしまうなんてどうして想像できただろうか。いつか別れは必ず来る。突然誰かが死ぬことも当然ある。僕らだってそれくらいは十分分かる年にはなった、それでもだ。
それでも別れが来るとしたら、きっとそれは僕らが大人になる時で。
交通事故や病気なんてものがあるとしても、それは世界のほんの一部の人が不運にも遭遇するもので――まさかそれが、身近な友達の一人にブチ当たるだなんてどうして想像できようか。
飲酒運転の自動車が突っ込んで来た時、彼は歩道の隅っこでいつものようにカメラを構えていたのだという。流樹君は、写真を撮るのがとても好きな子供だった。デジタルの方面にも強くて、ツニッターの使い方を僕らに教えてくれたのも彼である。僕達はリアルでもSNSでも繋がっていた。プロのカメラマンを目指していたという彼が撮った写真は、どれもこれも小学生が撮ったとは思えぬほどの出来栄えであったと思う。そんな写真を、彼は毎日のようにツニッターにアップしていた。当然、彼が死んだ今、新規の投稿などあるはずもなかったのだが。
その写真は、彼が死んだ後に、短いコメントに添えてアップされた。
彼はどういうつもりであったのか、その時は予約投稿というものを試していたらしい。まるで、自分が死ぬことが予想できていたかのように。
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