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「それはそうと、陸。お腹すいてないか?」
お腹?そういえば、ここに来てからまだ1度も食事をしてないかも?
この世界に来てから色々ありすぎて食事まで気が回らなかったみたいで、言われて気づいたら急に空いてきて、グゥーと鳴った。恥ずかしい。
「……………はい///」
僕のお腹はなんで我慢出来ないんだと怒るが、怒ったことは仕方がないと割り切ることにした。割り切らないと昨日からのアレコレもあり精神が持たない。
昨日、帰れる方法がないと言われて泣いてしまったけど、こう見えても自称割り切りできるタイプなんだ。
「ククッ、お腹は空いているみたいだな。それでは、早速食事にしよう。」
シュナルがそう言って、ゆびをパチンと鳴らした俊寛目の前の景色が変わった。
そう、変わったんだ。
僕は今までずっとシュナルのベットの上にいたはずなのに、気づいたら大きな縦長テーブルに椅子がズラっと並んでいる空間に来ていた。
「えっ、え、えぇ!?何が起こったの???」
「移動しただけだか?」
「い、移動って……はっ!も、もしかして、瞬間移動的な奴?」
「あぁ、よく知ってるな。魔法がない世界とか言ってなかったか?」
マジで瞬間移動だったー!!
え?瞬間移動できるとかヤバくない?テンション上がるんだが!!
そういや、ここ魔法がある世界だった。火の玉みたいなのは見してもらったけど瞬間移動とかって、漫画とかで言ったら時空魔法とかそんな感じのレアスキルとかなんだよな〜。それをリアルに体験できるなんてヤバイ。
あれ?待って。僕ここに転移してきたんだよ…ということは、
「ステータスオープン!!…………あれ?」
えぇ!?何も表示されない!!
こういう異世界ファンタジー転移ものってさ、ステータスオープンとか言って、自分のステータス確認したらとんでもチートだったみたいな展開じゃないの!?
もしかして、ステータスオープン以外の言葉で出すとか??
それから食事のことを忘れて思いつく限りの言葉をブツブツを言い始める。
「陸、聞いてるのか?おい……俺様を無視とはいい度胸じゃないか。おい、陸!!」
「うわぁっ!?」
僕が夢中で思いつく限りの言葉を口にしていると急にシュナルに引っ張られた。
あれ?さっき僕の目の前に居たはずなのにいつの間に後ろに?しかも、とても怒ってる?なんか、威圧感が凄い…ですよ?とつい敬語を使いたくなるほどにヤバい。
あっ、もしかしてご飯にしようとか言ってたのに僕が動かなくて起こったとか?確かに、お腹すいてる時にトロトロしてる人がいたらイラつくかも…。
「ご飯前なのにゆっくりしてて…ごめんなさい。」
僕が素直に謝ると、予想外だったのか目を見開いたまま少し固まり、ため息をしたかと思えば動き出し、近くにいた尻尾生えた人?に何かを話をしだした。
え?何?僕が謝ったの放置?多分僕が悪いんだろうけど放置って酷くない?許すだの許さないだのくらいは言ってくれても良くない??とは思いつつも、さっきの威圧感を思い出したら怯んでしまい、話が終わるまで大人しく待つことにした。
「待たせたな。さぁ、今から食べるか。」
「え?う、うん。」
さっきまで凄い威圧感を出してたのに、今は機嫌が良くなったのか満面の笑みでそう告げてきた。
僕は少し変だとは思ったけど、機嫌が良い分には悪いことは起こらないだろえし、後で聞きたいことも沢山ある。
まあ、きっと許してくれたのだろうと思い、言われるがままご飯をいただいた。
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「よく食べたな」
「うん、見た目には驚いたけど、ここのご飯甘くて凄く美味しかった!!」
そう。僕は何を隠そう甘党である。だから、最初出てきた料理を見た時は驚いたものだ。
だって、見た目は真っ赤な激辛料理そのものだったから。
甘党な僕に激辛料理は辛い以外の何者でもない。でも、せっかく用意されたものだから少しは食べないとと思い恐る恐る1口食べてみる事に。
そしたらどうだ。『僕辛いよ〜』って見た目にも関わらず、体はポカポカになり、味は昔ながらのパンケーキみたいな感じの優しい甘さの料理だったのだ。
これには大声で美味しいと叫んでしまうくらいには驚いたよね。
「そうか、それは良かった。口に合わなかったらどうしようかと思ってたからな。もう要らないか?」
この食べきれない程の種類と量はそういう意味だったんだ。
僕が食べれない料理があるかもって…シュナルって案外良い奴かも?
「うん、申し訳ないけどもうお腹がいっぱいで入りそうにないかも…」
「そうか、なら部屋に戻るぞ」
シそう言うと同時にまた指パッチンをし、僕は最初に転移してきた部屋へと戻された。
もちろん、シュナルも一緒に。
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