「1」

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「1」

『私は、上手く言葉を話すことができません。 声のトーンやニュアンスが、変なふうに聞こえてしまうかもしれません。あなたに不快な思いをさせてしまうかもしれません。 それは決して あなたが嫌いなのではなく 思っていたことが上手く声にできないのです。』 声は出るのに  出せないのです。 声を出そうとすると 息が詰まるような感覚に陥るのです。 ヒューヒュー喉を通る風の音が聞こえそうで 頭の中はドクンドクン 目の前はグルグルグルグル やっとこさ出たのは 消え入りそうな 蚊鳴き声 聞き返されるのも 当然です。 理由は色々ありますが   言葉が「消すことができない恐ろしさ」を秘めているからかもしれません。 文字なら  考えて考えて  試行錯誤して 「よし、これで大丈夫」となって 初めて見せることが可能。 でも  言葉は 何か聞かれたら  何かしら返さなくてはなりません。 短時間で。 「この言葉によって相手が嫌な思いをしたらどうしよう」 「空気を悪くするかな・・・」 マイナス思考が行く手を閉ざし  あいまい 小さい か細い声しか出せなくなる。 大丈夫な時もあるのです。 だからこそ 誤解されるのかもしれない。 そもそも誤解じゃなくて 私が変なだけなのかもしれない。 周りにできることが  私にはできない。 自分でも  どうしたら良いか  分からないのです・・・
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