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手の空いている給仕が居合わせなかったのか、代わりにシェフが手を洗って対応に向かった。見習いの身なのだろうか、他のシェフ達と同じような縦長のコック帽を被ってはいない。
取引額がレジキャスターに表示され、男は金額を確認した後に財布を取り出した。小銭入れのポケットの金具をあけると、中から取り出したのは、同時に誰もが取り出すであろうと予測した金額分の小銭ではなかった。
というよりかは、払えるだけの額が取り出せるのかと誰もが目を遣っていた。
男がこのレストランを指定したことを理由に依頼を断ろうかとも思ったのだが、どちらにせよ通えなくなる可能性があるのなら請負わざるをえなかった。録画を開始する。ジェットの瞳孔が赤色に点灯した。
姿を見せたのは、キッチンタイマーくらいの大きさの小型スイッチ。面積の8割を占めていた赤いボタンを押し込むと、男の身体はジャンバー越しにもわかるくらいに白く発光し始める。
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