EP.2

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――国営レストラン【ジブ】で自爆テロ。死傷者数名。実行犯の男性は現政権への反抗が動機か。  ヴァネッサは非接触性モニターの一面を飾ったニュースの見出しが目に入り、画面を前にして戦慄していた。意識の外で刃物を首元に突き付けられていたかのような肝の冷える感覚を覚えていた。  利用者幸福度の高い大衆店としてネットで紹介されていたため、今週末にでも訪れてみようかと考えていたためである。 「――とんだ迷惑者だね。そんなところで命を輝かせたとて、どこにも届きやしないよ」  ノースリーブのチャイナドレスから生える四肢は小麦色で、頭髪は胸上にまで届くオールバッグのビニール樹脂製のドレッドヘアーと、意匠と想定した人種が合致していないようなツギハギめいた印象を抱く。  ある意味では現代的な、多様性の間口が広いことを指し示すいで立ちでもあった。蛇腹織りの頭髪の先端にはUSBやHDMIを始めとした多種多様な端子を取り揃えていた。  端子を通じて彼女の脳内CPUに直結することが可能となっている。  白色の防音パネルで貼り固めた事務所内は所せまく、ヴァネッサ専用のオフィスチェアに彼女が腰かければ残りは応対用のスペースしか人の踏み入れられる領域は確保されない。  10畳の内、約5割はコンピューター機器や冷暖房の設置スペースに占められていた。  モニター類と対面する形で配置されているアルミ扉のレバーが回り、レーゼル、続いてアーロンがサッシをくぐった。
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