竜の翼

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竜の翼

 ごうごうと、紅蓮の炎が燃え盛っている。  まるで意思を持っているような炎の揺らめきを、ただぼんやりしたまま見つめていた。  やがて、肌を刺すような熱気と焦げ臭い匂いに、ハッと我に帰る。  目の前には、炎に包まれた建物。そして、辺りには言葉を失い立ち尽くす人々──。 (何があったんだ?)  状況が分からず、誰かに聞こうと近付いていく。 「く、来るな! バケモノめ!」 (えっ? バケモノ?)  後ろを振り返るが、何もいない。  再び近付こうとすると、その人は明らかに後退りをした。  その目は、僕を怯えるように見開かれている。
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