竜の翼

2/3
前へ
/3ページ
次へ
(僕はバケモノじゃない!)  そう言ったつもりだったが、口から出た言葉は唸り声のようなものだった。 「キャー!」  辺りにいた人々が、蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ惑う。 (どうなってるんだ?)  視線を落とし、自分の姿を改めて確認する。  ぬらぬらと光る肌。尖った爪。太い足。  そして、背中には翼竜のような翼──。 (なんだ、これ?)  いつもと違う姿に震えが走る。  僕は、確かに人間だったはずだ。  
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加