4人が本棚に入れています
本棚に追加
竜の翼
ごうごうと、紅蓮の炎が燃え盛っている。
まるで意思を持っているような炎の揺らめきを、ただぼんやりしたまま見つめていた。
やがて、肌を刺すような熱気と焦げ臭い匂いに、ハッと我に帰る。
目の前には、炎に包まれた建物。そして、辺りには言葉を失い立ち尽くす人々──。
(何があったんだ?)
状況が分からず、誰かに聞こうと近付いていく。
「く、来るな! バケモノめ!」
(えっ? バケモノ?)
後ろを振り返るが、何もいない。
再び近付こうとすると、その人は明らかに後退りをした。
その目は、僕を怯えるように見開かれている。
最初のコメントを投稿しよう!