1 ココはカリフォルニアガール

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 ある日、こけしが喋った。 「ハーイ! ココよ!」  そしてウインクをした! 「ええっと……私、疲れているのかな……」  こけしが話しかけてきたように感じるなんて。今日はずっと掃除をしていたから。今になって疲れがでたのかもしれない。  友達に頼まれて、友達の親戚の家の掃除を手伝った。とても優しいおじいさんとおばあさんがいた。海外に引っ越しすることとなったそうだ。夫婦ともに、親の仕事の都合でアメリカ生まれのアメリカ育ちらしい。  ある程度の年齢からは、日本で暮らして、就職して結婚もし、それはそれで充実した生活だった。でも、年を取ってからは、生まれ育った場所で、のんびりと過ごしたいという話になったそうだ。  そういうわけで、老後は昔暮らしていたロサンゼルスの海辺の町で暮らすと決めて、引っ越すこととなった。  おじいさんとおばあさんに、何度もお礼を言われた。たくさんお菓子や洋服などを貰った。友達と喜んでいたら、最後に、キャビネットの中から、こけしをだして、私にくれた。  アメリカで暮らしていた頃、どこかで買ったと思うけど覚えていないと言っていた。気がついたら、キャビネットの中にあったような感じだったらしい。  不思議なこともあるものだ。
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