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「遅くならないうちに帰るから! シーユー!」
「ココ、どこにいくの……?」
私の言葉は、ニャーニャーという声にかき消された。
うちの庭に、たくさんの猫たちが集まってきていた。白い猫や黒い猫や茶色い猫。三毛猫やアメショーもいる。夕焼けに照らされて、かすかにオレンジがかって見える。
どこからこんなに猫が集まってきたのだろう。
猫たちは、すっくと二本足で立つと、前足で落ちてきたココを受け止めた。そして、そのままの姿勢で全員ですごい速さで移動していった。ココは猫にかつがれた、こけしみこしといった感じだ。
私は声もなく、ただその様子をポカンと眺めていた。
ココと猫がいなくなった庭は、ガランとして見えた。
「……こけしって不思議。ううん、ココが不思議なのかな」
なんともいえない気持ちになって、独り言を呟いた。
その日の夜、いつまで待ってもココは帰ってこなかった。
「ココ、遅いなあ……」
少し考えた。あ、もしかして。
「……夢だった、とか?」
きっとそうだ。
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