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「あなたはとっても残酷なのね。私はここから出られないのに、あんなものを見てしまった。あなたがくれた景色は私の思い出を塗りつぶしてしまったわ。あなたがいなくなったとき、私は何を支えに生きればいいの?」
さめざめと泣く少女の言葉を聞き、マナカは耳まで裂けんばかりに口を開き、ケタケタと高らかに笑いだした。
「ねぇ君、それなら問題なんて何もない。僕と一緒に旅をしよう。世界にはまだまだ君に見せたい美しいものがたくさんあるんだ」
少女が自分のことを求めてくれているのが嬉しかった。自分がなければ生きていけないと語る少女が愛おしかった。マナカは少女を、壊れないようにぎゅっと抱きしめた。
「でもそんなことできないわ」
少女はふいと顔をそらした。
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