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間の巫女
無事結界を抜けたマナカは、落ちた拍子に目玉についた砂をぱっぱと払うと口の中に放り入れた。
目をつむり、ころころと口の中で転がし感触を楽しんだら、歯を思い切って突き立てる。するとぷつりという感触とともにじんわりと広がる甘みと、目玉が最後に見た光景が目の前に広がるのがマナカは好きだった。
「誰?」
目玉を食べたあとの余韻に浸っていると、誰かに呼ばれた気がしたマナカは、首をぐりんと180度曲げて振り向いた。
すると窓や障子を開け放した屋敷の中に、布団に横たわったまま上半身だけを起こした少女がいた。
白く、ほっそりした体。マナカは思わずその姿に目を奪われた。ぱっと目を見ようとするが、そこには頭巾のような布が上からかけられていて見ることができない。
あの布の下にはどんなに美しい目玉があるのだろう。
そう思うとマナカはいてもたってもいられなくなり、光に誘き出される蛾のようにフラフラと少女の元へ歩み寄った。
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