6人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「誰か、そこにいるの?」
少女が怯えた声で尋ねた。身を隠してもいないのにこちらの様子がわからないことから、目は見えていないようだ。あんな布、とってしまえばいいのにと思いながら、マナカはおずおずと答えた。
「驚かせたならごめん、僕マナカっていうんだ」
少女は誰かの声が聞こえたことにとても驚いた様子で、びくりと体を震わせていた。
「マナカ? あなたはどうしてここにいるの?
もしかして……人じゃないの?」
その言葉を鼻で笑うようにして答えた。
「馬鹿言わないでくれよ、僕のどこが人だっていうのさ。僕は人じゃない、バケモノさ。たまたま抜け穴があったから、何があるのか気になっただけさ」
マナカは馴れ馴れしい態度で縁側に上がると、少女に向かい合うようにして座り込んだ。すると少女はしばらく黙り込んでいたかと思うと、首をかたりと傾けて言った。
「そう、じゃあ結界もついに無くなるのね。私の役目ももう終わり」
最初のコメントを投稿しよう!