6人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
私は、その表情を見ると
――――――――『叫び』を思い出す。
エドヴァルド・ムンクの有名な絵画…………
『叫び』
祖父の死に顔は…………
まさに、あの有名な絵画のようだった。
「余程、苦しかったんだね。
お祖父ちゃん…………可哀想にね…………」
涙ぐみながらも毅然とした態度を貫こうとする母と…………
祖母の嗚咽が病室に谺する。
祖父の呼吸器が何らかの理由で外れてしまったらしく…………
必死に酸素を取り込もうと苦しみ、開かれた祖父の口は……………
木乃伊のように干涸びていた。
「アレは、叫んでる絵じゃないよ」
自然を貫く叫びに、耳を塞いでいる絵なのだと………
昔、姉から教わった。
祖父の、表情を見下ろしながら、
私は、ふと疑問に思う。
これは、本当に『叫んで』いるのだろうか―――――――?
身動きの取れない祖父の呼吸器は、どうして外れてしまった…………?
そして、何故、看護士達は誰もその事に気付かなかったのだろう…………?
最初のコメントを投稿しよう!