叫び

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生前は日に焼け、元気に畑仕事をしていた 祖父の肌色は………… 長い入院生活の中で、すっかり生白く……… 血色の悪い黄土色にくすんでいた。 ―――――それが、何だか…………、 …………無性に悲しかった。 取れたてのトマトやキュウリを冷やして食べた時の祖父の笑顔が頭から離れず……… 私は、一人、トイレに駆け込む。 葬式で涙を流すなど、普通の光景なのに…… 悲しみを押し殺し、毅然(きぜん)と振る舞う母に何だか申し訳なく、トイレでこっそりと泣いた。 「…………お祖父ちゃん………… 会いたいよ、……お祖父ちゃん……………」 一人になった途端………… 幼子(おさなご)のような(もろ)さで 泣き崩れてしまう。 その泣き声に応えるように………… 「女」の声が聞こえた。 「…………会わせてあげる」
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