優しい恋の忘れ方

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「あー、美味かった! やっぱ冬は味噌ラーメンだね! 汗かいちゃった」 「おお。だな! って、さむっ! 昼間はよかったけど、流石に夜は冷えるなぁ」 「だねー。……みきちゃん」 「ん?」 「今日さ、何の日か知ってる?」 「は? 今日って……バレンタインデーのこと?」  内心、ギョッとしつつ表情に出さず答えた。拓郎はコクコクと頭を上下に何度も振り、ポケットから小さな箱を取り出す。ダークブルーの箱に、よれたピンク色のリボンがついてる。 「これ、もらって?」 「……なにそれ」 「チョコ、だよ?」 「そういう意味じゃない。おバカめ」 「バレンタインデーの、チョコだよ」  拓郎は真っ直ぐ俺を見つめハッキリ言うと、天真爛漫な笑顔を見せた。  了
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