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そして今、アレから一週間ちょっと経つのだけど、めんどくさいことになってる。
案の定、拓郎は酔っ払って記憶が飛んでたみたいで、自分がソファで眠ることになった経緯も、なんならドラマの第一話から鑑賞会を開いたことすら覚えてなかった。
いいんだよ、それで。
そう思っていたのに。
最近、拓郎が変だ。
俺と目が合うと、分かりやすい顔で逸らすし、手と手が触れようものなら「あわわわ」言いながら手をブンブン振ったりする。
完全に挙動不審。
かと思えば、俺がスタジオで汗だくになったり汚れたりして、持ってきた替えのシャツに着替えようとTシャツをガバッと脱ぐと、俺の前に立ったり「こんなとこで脱ぐな」と喚いたり。
なんなの? ボディガードのつもり?
そんな奇妙な拓郎に、撮影班スタッフさん達もハテナ顔。一緒に現場にいた会社の先輩からも「鈴木君のアレはなに?」と説明を求められて、俺だってなんて説明していいのか分からない。
考えられる可能性は一つ。
拓郎がアレを何かのタイミングで断片的に思い出したか、俺とエッチした夢を見たと思い込んで、ガチガチに意識しちゃってるか……。
でも、とにかく、本当にめんどくさい。
俺から? 俺からなんて何も言わないよ。
でも、そうだな……。俺が他のスタッフさんとお喋りしてると、背中に痛いくらい視線を感じたり、振り返ると顔がムッとしてたり。そんな拓郎を見るのはちょっと楽しいかもしれない。
ほら、今も……ラーメン屋のカウンターで並んで座ったら深呼吸しだした。
もし、アレが本音なら、いつか告白してくれるのかな?
俺は悲しい想いをしなくて済む? ……なんて。そんな風に想像しながら、毎日を過ごしてる。
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