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知らぬ間に僕は、身体の向きを変えていた。太陽に向かって進む体勢に変わっていたのだ。
そして、ふと左右を見渡すと、人の形をした透明に近いオレンジ色の光がいくつも太陽に向かって吸い込まれるように進んでいた。
僕もこの無数の光の内の一つのようだ。
先を行く光を凝らして見ると、太陽の火柱に捕まり、そのまま太陽の内側に溶け込むように消えていった。
天国は、太陽の中心にあるのだろうか。だとしたら、人類には永遠に天国を見つけることはできないだろうと、僕は思った。
いよいよ、僕も火柱の先端に触れられそうな距離まで近づいてきた。
目の前に、まるで蛸の足のような火柱が、僕に向かって伸びてきた。僕はむしろ自分から捕らえられに行った。炎の足が僕の身体の回りをぐるりと一周した。
肌に触れている感覚も、勿論熱さも感じることもなかった。
それから僕は、太陽の本体に吸い込まれていくような感覚で、内側へと入り込んでいった。
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