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僕は咄嗟に身体の向きを変え、白い光の入口から遠ざかろうと、身体を前進させようと試みた。
身体は前には進まなかった。手足は自由に動かせるので、前に向かって走るような動きをすることはできるが、身体は確実に後退していた。
あんなに真っ暗だった景色は一変して、今度は白い光一色の世界になった。
「やばい。」
僕は地球に帰りたい一心で、何とか闇に戻り、太陽の外を目指したかった。しかし、そんな気持ちは一切通じることはなかった。
僕の気持ちは泣いていた。実際には涙は出ていなかったが、僕は何年かぶりに恐怖に泣かされた。
しばらく白の世界を、更に太陽の中心に向かって進んでいると、移動するスピードが落ちてきているように感じた。
「あれ?止まるのか?」
僕は自分の意志ではないが、移動するスピードが徐々に減速しているような気がして、ついには止まってしまった。
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