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私は見てしまった。
午後7時。
喫茶店であの人が若くて可愛らしい女と楽しそうに話をしている所を...
私達は付き合い始めて5年が過ぎた。
でも一時期あの人の浮気が原因で別れていたから正確に言えば4年と3ヶ月。
また浮気の虫が出てきたと悍しく身震いした。
もうあんな思いは二度としたくないと...
あの時は酷かった。
身も心もズタズタになり私の古くからの友人も失ってしまった。
私は随分あの人を問い詰めて息さえ出来ない位にお互いを傷付けた。
私に嘘を付き通せばよかったのに結局はあっさり私の友人との浮気を白状した...
あのバカ。
私は仕事にも行けないくらい鬱になってしまい死にたいと迄は思わなかったけれど 、電車を待つホームから発作的に飛び込む可能性はあったと思う。
もう今回は深く考えないし関わらないで怒る事も悲しむ事もしない。
そう決めたの...
昨夜の電話はあの人の
゛のらりくらり゛
の言い訳に少し激情したけどもういい。
今日はお仕事をお休みして明日から新しい自分でいようって、そう思いながらアパートを出て気持ちの整理をつけようと近くの川岸へ散歩に出た。
それ程大きな川じゃないけど上流に行けば山間の綺麗な水場があって夏になると子供連れで賑やかになる。
なだらかな゙くの字゙になった坂道を降りると人と自転車しか渡れない可愛い青い橋が掛かっていて、スーパーへのお買い物や食事をしに隣町へ行く時に便利でよく利用してる。
近所の人達はジョギングしたり散歩したり多くの人が時間によっては行き交っている。
彼が泊まりに来ると決まって夜か朝に散歩した。
その橋を渡って上流に向って歩いていると後ろの方から誰かが叫ぶ声がした。
「マイカ〜!マイカ〜!」
対岸にあのバカ...
シンジが手を振っていた。
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