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ノックをして戸を開け、賢一と賢二が会議室に入ったその時、後ろからもう一人、おっはよーさーん!!と大きな声で挨拶をしながら生徒が入ってきた。昴だ。
突然の大声に安畑と賢二が驚く。賢一は少し気まずそうに横を向いた。賢一の心情を察し、安畑が外に出るように言ったが、昴はお構いなしに奥から椅子を持ってきて、少し離れたところで座った。
「俺のことは気にせんと始めてや~♪」
賢二ははぁと溜息を吐き、賢一と共に安畑の向かい側に用意されていた椅子に座った。安畑も、当事者だししょうがないといった様子でチラと昴を見た後、二人の方に向き直って話を始めた。
「さっきお父さんから電話があったよ。ご心配とご迷惑をおかけしましたって。こんな息子達ですが、これからもよろしくお願いします、って」
安畑からの言葉に、二人は父の自分達への想いを改めて痛感する。
「僕達教師や親からすると、何かあれば打ち明けてほしいけど、お前達の年頃はそれが難しかったりするんだよな。だから、それぞれで長い間苦しい思いをしてきて…賢一も賢二も、本当に辛かったな」
「本当に、ご心配をおかけしました」
「ごめん、先生」
「二人がこのことを乗り越えられてよかった。もう、大丈夫だな?」
「はい」
「もう、思い詰めたりするんじゃないぞ」
「うん」
「ほんまやぞ」
そう言って昴が賢一の前に来た。冗談抜きの目で賢一を見て続ける。
「ほんまにもう、あんなことすんなよ」
「あぁ、しねぇよ。もうその必要もなくなったしな。…昴」
少し恥ずかしそうな、悔しそうな表情で、
「…止めてくれて、あんがとな」
賢一の意外な言葉に昴は驚き、そして、やめろや、こそばゆいわ!と言って苦笑いした。
「先生、昨日の賢一のことは…」
「あぁ、わかってるよ」
本当なら全教師で共有しなければならないことだが、生徒達に知れるリスクを考え、これは当事者だけの話にしようと、二人が帰った後に安畑、錦野、小倉、昴で話をつけていた。
ベルが鳴ったので会議室を出、賢一、賢二と昴は教室へ、安畑は職員室へと、それぞれ向かった。そして朝礼の時少し時間をもらい、賢一と賢二は事情を話してこれまでのことを謝罪した。クラスメイト達は賢二が謝罪をしたことに驚いたが、だから朝から二人仲よかったのか、と納得した。
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