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「うわ……。凄くお上手です。こんなにバランス良く、それに愛らしく『愛』を書ける人に初めて会いました」
「両親が書道家で小さい頃から書には親しんでいたので。これ、今日の記念に差し上げます」
手渡された書に感動しつつ有り難く頂戴した。自分の名前ながら上手く書けた試しが無い。ずっと親を恨んでいた。これからはこれをお手本にして練習しようと思った。
「さて、栗本さんは入部希望者と言う事で良いのですか?」
「あ、はい、一応。今日は見学させてもらおうとやって来ました」
「ありがとうございます。栗本さんはオカルトに興味があるんですか?」
興味と言うよりも毎日オカルトに囲まれて暮らしている。
「はい、一応」
「まあ興味無ければ来ませんよね。愚問でした。もしかして何かしらの能力をお持ちですか?」
これは、私を試しているのだろうか? そう思い、ふと部長を霊視した。すると……。う〜ん、色々憑いてますねぇ……。でも悪いモノはいない。それだけが救いだが、これだけ背負っていれば重たいだろうに。
「部長は何か能力があるんですか?」
「……信じてもらえないかも知れないけど。いや、これを言うと大抵の人は僕の事おかしい人だと思うんだけど」
「大丈夫です。私、幽霊は信じてますから」
「そうですか。じゃあ、思い切ってカミングアウトします。実は僕、視えるんです」
「おぉ!」
霊感のある人は霊感のある人が分かる。私も今までに何人か会った事がある。でも部長にはそれが感じられない。きっと、霊感があると言ってもほんの少しなのだろう。
「僕には悪霊が憑いているんです。子どもの霊なんです。毎晩寝ていると布団を引っ張られるんです。もう怖くて……」
「えー、そうなんですか?」
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